Dr.Andyの活動記録

麻薬乱用救済プロジェクト2

すべての麻薬は敵だ! それぞれの立場で、白い粉の悪魔と戦う3人

NO.2 ジョセフィン・ウォンさん
不自由な足にもかかわらず、今日も人々のために世界を駆け巡る台湾の女医さん

生来もって生まれたボランティアの心

ジョセフィン・ウオンさんです困っている人の手助けをしたい、何か自分にできることはないかと常に考え、国境を越えて活動を続けている一人の女性がいます。その人はジョセフィ・ウォンという台湾の女医さんで、神経内科の専門医です。彼女は1958年に香港で生まれ、小学生の頃から地元の老人ホームやさまざまな福祉施設を訪れていました。カトリックの信者でもある彼女は幼い頃よりこうしたボランティア活動に参加し、人に奉仕することは当たり前のこととして受け止めていました。

やがて彼女は中学、高校へと進み、将来は医者になることを目指していましたが、ジョセフィンの家はそれほど豊かではないために、物価の安いフィリピンへ、そしてマニラ・セントラル大学医学部に留学しました。在学中もフィリピン各地を訪れてボランティア活動に励んでいたといいます。しかし、フィリピン国籍のない彼女はこの国で医師免許を取得することはできず、そこで大学卒業後はフィリピンを離れて台湾に渡り、そこで国家資格を得ました。

写真: ジョセフィン・ウオンさんです

多彩なボランティアプロジェクトへの参加

台湾でのボランティア活動の中核でもあるはれて医師となった彼女は、ボランティア活動を続けるために開業医としてではなく勤務医の道を選びました。そして、'96年には台湾政府の派遣で、イギリスのロイヤルフリー・ホスピタルに1年間留学し、この間もボランティア活動でアフリカや東ヨーロッパなどの国々を訪れています。過去10年間にジョセフィンが訪問した国は、中国をはじめ、ラオス、カンボジア、モンゴル、フィリピン、インド、スリランカ、バングラデシュ、エジプト、ヨルダン、トルコ、エチオピア、スロベニア、リビア、チェニジア、ブラジル、アルゼンチンなど、実に広範囲にわたっています。

こうした国々で彼女はどのような活動を行ってきたのか、その一例をご紹介しましょう。

例えば、インドには飲み水が整備されていない村が多くあります。そこで、子供たちが通う学校に安全な飲み水を供給するタンクをつくりました。また、ブラジルでは夫や男性に暴力的迫害を受けた母子のための仮設住宅をつくったり、識字率向上のためのプログラムや職業訓練のプログラムを組んだり、バングラディッシュでは識字率向上のためのトレーニングセンターをつくったり、スラムに暮らす約1000人の女子を高校へ進学させるためのプロジェクトを立ち上げました。パナマにおいては幼児虐待の被害にあった250人の子供のための施設をつくったり、ポリオ撲滅運動にもアフリカで積極的にかかわっています。

写真: 台湾でのボランティア活動の中核でもある

勇気ある麻薬中毒者の説得と収容、神経内科医の真骨頂

薬物中毒患者がいる リハビリセンターにはどこにでも出向き、そのノウハウを指導するジョセフィンの活動はこれだけに止まらず、麻薬中毒の人々を救済するためのさまざまなケアも行っています。いまや麻薬は世界中に広まり、大勢の人々を苦しめていますが、一度中毒になるとなかなか麻薬から離れることはできません。彼女は、麻薬中毒者を救うために、彼らが暮らすスラム街に入って行き、まずその人たちの話に耳を傾けることからはじめます。これは、なかなかに勇気のいる行動です。実力行使で彼らを施設に収容しても、本人がほんとうに麻薬を断とうという意志をもたなければ、麻薬をやめることはできないでしょう。ジョセフィンは、そんな彼らのよき理解者として彼らの話を聞き、説得を試みて、リハビリセンターに彼らを送るのです。リハビリセンターでは、規則正しい生活のなか、教育を満足に受けることができなかった人は勉学の機会が与えられ、社会復帰のためのさまざまなプログラムも実施されています。

また、彼女は高校や大学のキャンパスで犯罪防止のキャンペーンを行ったり、地元のラジオ番組に週1回出演して環境保全について語ったり、移動クリニックを実施するなど、その活動は多岐にわたっています。こうしたさまざまな活動は彼女1人で行動するわけではありません。各種の専門医やソーシャルワーカー、医学生など、自分をサポートしてくれる人材をいろいろな国から幅広く集め、チームを組んで行動を共にし、彼女はそのチームリーダーとして活躍しているのです。

写真:薬物中毒患者がいる リハビリセンターにはどこにでも出向き、そのノウハウを指導する

杖をつきながら、ボランティアのため世界を駆けめぐる姿に感動

ジョセフィンの訪問国はまさにワールドワイドこうしてさまざまな途上国に出かけ、健康保健に関する教育を実施したり、ブラジルなどの麻薬中毒患者のリハビリセンターの現場視察や、彼女の専門である神経内科について講義を行ったりもします。フィリピンの無医村に1カ月以上滞在し、自分が村を去ったあとも基本的な医療サービスができるよう保健婦をトレーニングしたこともあります。

ジョセフィンは、強い意志と弱者を助けるという使命感をもった行動的な女性として台湾でもよく知られた存在です。医師としての務めを果たしながら、自分を必要とする人があれば国境を越え、どこにでも出かけていきます。そのパワーは計り知れません。

私がジョセフィンを尊敬する理由は、ほかにもあります。実は、いまから十数年ほど前に彼女は膝蓋骨軟骨軟化症という病気にかかり、これまで2~3回手術しているのです。この病気は膝の軟骨が軟化して膝軟骨が擦り減っていって、やがては骨が変形してしまうというもので、手術したにもかかわらず病気は進行し、現在彼女は杖をつきながら歩いているのです。しかし、彼女の不屈の精神は少しも衰えることを知らず、その瞳はキラキラと輝いています。恵まれない人々に奉仕し、人々の喜ぶ顔を見れば、足の痛みなど忘れてしまうとジョセフィンはいいます。

体のハンディキャップから考えると、彼女こそボランティアを受けられる資格があると思われるのですが、むしろ逆で、私以上に困っている人間がいるはずといいたげに、まさに世界を東奔西走しています。「超我の奉仕賞」を受賞した彼女の姿を見ていますと、「超我」という言葉の意味を改めて思い起こさせてくれます。

私は彼女のことを思い出すたびに、なぜか活力が体中にみなぎってきます。そして、私にもまだまだやらなくてはならないことがたくさんある、もっと頑張ろうという勇気が沸いてきます。

写真:ジョセフィンの訪問国はまさにワールドワイド