Dr.Andyの活動記録

対人地雷被害者救援活動

地雷被害者に救いの手を差し伸べる、元国連軍兵士

エトワート・シニア氏

20世紀は殺戮の時代と言われています。今もなお、世界の各地では内戦や紛争が繰り返され、大勢の人々の命が奪われようとしています。科学の発達とともに、さまざまな兵器や武器が開発されてきました。なかでも「沈黙の悪魔」と呼ばれる地雷は、世界の3分の1に匹敵する64カ国に埋設されており、その数はなんと1億1千万個以上にものぼると言われています。地雷は、今もなお毎年200万個以上も敷設されていますが、除去出来る数は10万個と到底及びません。地雷のやっかいな点は、どこに埋まっているのか分からず、誰かが踏むまで確実に命を狙い続けることです。地雷には様々な種類があり、今の所1個1個手探りで探し続けるしか除去する方法がありません。地雷の寿命は約30年くらいあるそうで、このままではすべての地雷を除去するには1000年以上かかる計算になってしまいます。ICRC(赤十字国際委員会)や国連の調査によると、現在世界で1日に70人、年間26,000人の死傷者が出ているそうで、多くの民間人がその犠牲となっています。被害者は兵士よりも、農民、女性、子供、老人が圧倒的に勝っているのが現状です。彼らは農作業や家畜の世話、水くみなど生きていくためには地雷原と分かっていても足を踏み入れざるを得ません。そうして地中に隠された地雷を踏んで、手足を吹き飛ばされたり、失明したり、尊い命を奪われてしまうのです。

OPERATION WALK プロジェクト (対人地雷被害者)地雷の被害は、単に被害者やその家族に留まりません。地雷除去、被害者の治療・リハビリ、農耕牧草地の喪失、食料生産の減少、復興・開発への負担など、地雷埋設国の社会や経済全体に様々な影響を及ぼし、ひいては国際社会も多大な負担を強いられます。現在、国連や赤十字、ボランティア団体など、様々な機関が対人地雷の問題に取り組んでおり、各種のプロジェクトが活動を展開しています。そんな中、タイのバンコクに暮らし、地雷の被害に遭った人々の為に立ち上がった一人の男性がいます。彼は現在58歳、名はエトワート・シニアといって、ニュージーランド出身の元国連軍兵士です。エトワートさんは、ベトナム戦争に国連軍として参戦し、1個師団全滅の中でただ一人生き残りました。ジャングル生活を経て、ベトナム戦争終結後にタイ人女性と結婚し、以来対人地雷撲滅、地雷被害者の為に義手・義足の制作と提供、リハビリなどに奔走する日々を送っています。彼は、「OPERATION WALK」というプロジェクトを立ち上げ、各国からの募金によって人々の生活向上の為に活動しています。

写真左上:OPERATION WALK プロジェクト (対人地雷被害者)

対人地雷被害者とエドシンニア氏(タイ・カンボジア国境)地雷の被害に遭った人々が再び社会生活に戻るには、長い時間がかかります。その手順を簡単にご説明すると、誤って地雷に触れた人は病院に運ばれてまず救命医療を施されます。もちろん、もう手遅れの人も大勢いますが、からくも命をつなぎ止めた人はそこで治療を受け、手足を失った場合には、義手や義足をつけることになります。そして、リハビリが行われ、ある程度まで機能を回復することになります。義手や義足はもちろん、すべてがオーダーメイドです。一人一人に合ったものでなくてはなりません。特に、義足の場合はそれぞれの地域の住民の暮らしに合ったものを作ります。例えば、農民であれば畑仕事に適したものでなくてはなりません。ですから、大量生産するわけにはいかず、義足を手にするまでには長い順番待ちの状態が続きます。また、一人に対して1本の義足で事足りるというわけではなく、例えば子供であればその成長に合わせて作り変えていきます。平均すると、一生の間におよそ12~3回ぐらいは作り変える必要があります。ちなみに、義足1本作るには約120米ドルほどかかります。私もアフリカなどを訪れて、何度かボランティアで地雷被害者の手術を行いましたが、医師ができるのはここまでで、義手・義足の製作は専門の技師に委ねられ、そして、リハビリはその専門家によって実践されます。

写真右上:対人地雷被害者とエドシンニア氏(タイ・カンボジア国境)

このように、地雷の被害に遭われた人々が社会復帰できるよう、様々な人々が協力し合っています。エトワートさんは、大柄でたいへん立派な体格をしていますが、実は心筋梗塞でこれまで2回もバイパス手術を受けています。いわば、自分の身体にムチ打ちながら一連の社会奉仕活動を続けているのです。そこまで彼を駆り立てているものは何なのか、私には知るよしもありませんが、ベトナム戦争で大勢の仲間を目の前で失った彼には、人一倍命の尊さというものがわかるのでしょう。傷ついた人々の手助けをしたい、それが自分の使命だと感じているのかもしれません。彼は、このほかにも精神薄弱児の為の施設や、ストリートチルドレンの為の学校など、多くのプロジェクトにも深く関わっています。子供達の未来を少しでも明るいものにしたい、人々に生きる希望を与えたいと願うエトワートさんは、今日も精力的に活動を展開しています。私はそこに、人間に対する彼の温かいまなざし、深い愛情を感じずにはいられません。

対人地雷被害者救援活動の写真

対人地雷被害者救援活動の写真国際的な会合に出席するDr.Andyと、日本・韓国・香港 ・フィリピン・タイとアメリカのボランティア達。
下の写真は職業訓練学校の様子です。彼らの生き生きとした表情を見て下さい。そしてボランティアによって用意された設備の数々をご覧下さい。彼らは、様々な人々により支えられているのです。
対人地雷被害者救援活動の写真 職業訓練学校の前で
写真左:Ed Seniorとボランティアの先生方です。
写真右:職業訓練学校の前で
パソコン教育の様子です。車椅子の学生達
写真左:パソコン教育の様子です。
写真右:車椅子の学生達
Ed Seniorはロータリー代表団から寄付を受け取りました。パソコンの操作は難しいけど、皆楽しそうです。
写真左:Ed Seniorはロータリー代表団から寄付を受け取りました。
写真右:パソコンの操作は難しいけど、皆楽しそうです。