Dr.Andyの活動記録

インドにおけるポリオ救済手術

ポリオ撲滅とアフターケアに向けて、日夜邁進するインドの行動派

ジャック・モアン さん

アジアのポリオ最多発地域で立ち上がった、68歳の会社オーナー

世界のさまざまな地域では、いまだポリオに苦しむ人々が大勢います。ポリオとはいわゆる小児麻痺のことで、ウイルスによって感染します。ポリオにかかると手足に変形や麻痺が生じ、命を落とす場合もあります。ポリオは、罪のない子供たちの健全な成長を妨げ、また、手足が麻痺によって日常生活に困難が生じ、多くの子供たちがその後遺症に苦しんでいます。

ポリオ手術後回復中の患者さん(フィリピン)
ポリオは世界の各地で発生していますが、アジアでは特に、世界の最多発地域とも言われています。

このインドにおいて、ポリオに苦しむ人々のために立ち上がったのが、ジャック・モアン氏です。彼は68歳になる紡績会社のオーナーですが、単に利益を追求するビジネスマンではありません。彼の周囲には、ポリオの後遺症で苦しむ人々が大勢いました。それでなくても、インドは貧富の差が激しい国です。体が不自由なために満足に働くこともできず、また、ポリオにかかった子供を抱える家庭は十分な治療をしてやることもできません。
ポリオ手術患者とDr.Andyと
モアン氏は、そんな人々のためにポリオの手術を実施するためのプロジェクトをつくりました。ポリオの手術は、手術代や入院費などすべて含めて1人約80ドルを要します。また、歩行器具やリハビリのための費用も必要です。彼は、1人でも多くの人を救いたいと、このプロジェクトのために日夜精力的に活動を展開しています。
写真左上:ポリオ手術後回復中の患者さん(フィリピン)
写真右:ポリオ手術患者とDr.Andyとフィリピンのボランティア医師達

ロータリー創立100周年目標、ポリオ・プラス

手術の順番を待つ親子連れ ロータリーとポリオとのかかわりは、1970年代に始まりました。1979年、フィリピンへのポリオワクチンの輸送が開始され、1985年には、国際ロータリー創立100周年までに世界中のすべての子供たちにポリオの予防接種することによってポリオ撲滅を実施するという目標を掲げました。この計画は「ポリオ・プラス」といい、ポリオのほかにハシカ、ジフテリア、結核、百日咳、破傷風の予防接種もその対象に含まれます。さらに、1988年にはWHO(世界保健機構)の総会で2000年までに地球上からポリオを撲滅するという目標が採択され、ロータリーはWHO、ユニセフ、米国防疾センターなどと協力関係を組み、世界規模でこの計画を推進しています。
写真:手術の順番を待つ親子連れ

10年間に約10億人以上の子供が投与を受けたポリオ・ワクチン

エジプトではラクダもサンドイッチ・キャメルとしてキャンペーンに一役。キャンディや風船を配ったり、ポスターを貼って関心を呼んだ。ポリオは、ワクチンを投与することで予防が可能な病気です。ワクチン投与などにより、ポリオの発生は年々減少の一途をたどり、ポリオ・プラス活動が開始された1985年にはポリオ無発生国が85カ国だったのに対し、今日では150数カ国でポリオがすでに撲滅されています。また、過去10年間に約10億人以上の子供がワクチンの投与を受けたといわれています。
写真:エジプトではラクダもサンドイッチ・キャメルとしてキャンペーンに一役。キャンディや風船を配ったり、ポスターを貼って関心を呼んだ。

理解を得るための広報活動が一苦労

ポリオ手術の術前
私自身も今まで、インド、フィリピンでは矯正手術に、そしてワクチン投与ではアフリカではエチオピア、ガーナ、アジアではインド、バングラデッシュ、タイ、モンゴル、フィリピンなどにボランティアとして参加しました。

ポリオ自体はワクチンの開発で容易に予防が可能な病気ですが、その理解を得るには幅広い広報活動が要求されます。子どもたちを中心にフウセンを配ってキャンペーンをくりひろげ、ラクダの背中に看板を掲げたりと、サンドイッチマンならぬサンドイッチ・キャメルとしてあの手この手でPR活動にも力を入れているのです。
ポリオ矯正手術で歩行可能になった子供。


ワクチンによるポリオの予防的撲滅と、さらに、すでにポリオの後遺症を持つ子供たちの矯正手術も大切な活動です。モアンさんの奉仕活動はむしろ、このポリオ矯正手術に情熱を注いでいます。ポリオ矯正手術のプロジェクトには、私もたびたび参加させていただいたことがあり、現在も継続しています。政治家や事業家のような大きな影響力は持てなくとも、現場で役立てる技術を持つ医師であることを、これほど誇りに思えることはありません。

少しでも正常に歩けるようになり、
世界各地のロータリークラブでは、さまざまな人々がポリオ撲滅運動と矯正手術のプロジェクトに取り組んでいます。
21世紀まで残すところあとわずか。ポリオは必ずや撲滅されるものと、私は信じています。その信じる根拠とは、科学や医学だけの力だけではなく、モアン氏をはじめ、各国のポリオプラス担当のロータリアンのような無私の奉仕活動によって、着実に成果が上がっていることを目の当たりに見てきたからです。
写真左上:ポリオ手術の術前
写真右:ポリオ矯正手術で歩行可能になった 子供。文字通り独立独歩だ。
写真左下:少しでも正常に歩けるようになり、微笑みのあふれるポリオ手術後の患者さんと、現在のボランティア Sanguin先生